新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編
新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 (FUTABA NOVELS)
- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 新書
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その昔は「餓狼伝説@旧SNK」のパクリだと言われたwこの作品も、修羅の門、グレイシー柔術、板垣氏などとの比較・コラボの遍歴を経てすっかりメジャーに。
でも、「新」ってコレかい!? と正直思いました。
これまで「最強とはなんだ?」みたいな感じで、夢枕氏の他の作品…「魔獣狩り」や「九十九乱蔵」、「大帝の剣」などなどとは異なったリアル路線で来たこのシリーズだと思ってましたが「あやしいひかり(あるいはメダパニ)」ですか…。
ちょいと伝奇っぽいニュアンスも加わってきた「餓狼伝」なのですが…。
つるぎのまい(あるいはバイキルト)、てっぺき(あるいはスクルト)、などなどってのは正直今までのリアルな格闘(モノ)にも「あまりよくない技」としてあったと思うのですが(最近は「つるぎのまい(バイキルト)というかエドウィン云々」に加え、「ちいさくなる(みかわしきゃく)つーかヌルヌル」ってのがあったとかないとかw)、よもやあやしいひかり(あるいはメダパニ…ってしつこいですか。ではこの辺でやめときましょ)
スクネ式(菊式)が「毒と暗示」だったとは…。
確かに東のところに乗り込んだときの「切れないアレ」って、なんだろうと思ったんだよね…私の想像力では「合気道の当身?」ぐらいまでしか届けなかった。
でも私個人は「本格格闘かどうか」ではなくオハナシとして楽しいかどうか、がポイントなので、アリです。面白いです。こんだけ格闘がブームになり一般化したら、一般人へ「思ってもないこと」を提示するべき「作家さん」としては「一般人が想像し得ないその先を提供する職業」として、リアルを超える提案をすべきだと思うので。本当に姫川勉の松尾象山への説明のあたりは「コレは本当に餓狼伝?」とは思ったけど、面白かった。
一時期「フクション」を「ノンフィクション」が追い越した、と思ったけど、やっぱすごいね、本職の方は、と改めて思いましたよ。もう元横綱・曙と一般人・ボビーがほぼ引き分けな現状ですから、それくらいしていいのだと思いますよ。
そして、もうひとつ今回面白かったのはプロレスラーの記述の部分。
「斑牛:伊達(上田馬之助)」にしても「カイザー武藤(ジャイアント馬場)」、「関根(鶴田?)」にしても、上田馬之助氏以外鬼籍の方では?とか思うけど、とにかく面白い。夢枕氏は格闘技好きでもあるけど、プロレス好きでもあるんだよな。
蛇足ですが先ほど出た「エドウィン云々(何かを自分のグローブに仕掛ける)」も伊達が「相手にダメージを与えるのとは逆なこと」をしていて面白かったw
「?」と思う部分もあったけど「!」と思った部分も多かった「新」餓狼伝でした。おもしれー。
小説もやはり読まねば、と改めて思いました。
改装版も出てるし、板垣シナリオも加わったマンガ版もあるし(私は全部は読んでませんが)オススメ!
もうこりゃ、マンガも小説も「伝奇」になってるな…