新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編

新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 (FUTABA NOVELS)

新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 (FUTABA NOVELS)

その昔は「餓狼伝説@旧SNK」のパクリだと言われたwこの作品も、修羅の門グレイシー柔術、板垣氏などとの比較・コラボの遍歴を経てすっかりメジャーに。


でも、「新」ってコレかい!? と正直思いました。


これまで「最強とはなんだ?」みたいな感じで、夢枕氏の他の作品…「魔獣狩り」や「九十九乱蔵」、「大帝の剣」などなどとは異なったリアル路線で来たこのシリーズだと思ってましたが「あやしいひかり(あるいはメダパニ)」ですか…。
ちょいと伝奇っぽいニュアンスも加わってきた「餓狼伝」なのですが…。


つるぎのまい(あるいはバイキルト)、てっぺき(あるいはスクルト)、などなどってのは正直今までのリアルな格闘(モノ)にも「あまりよくない技」としてあったと思うのですが(最近は「つるぎのまいバイキルト)というかエドウィン云々」に加え、「ちいさくなる(みかわしきゃく)つーかヌルヌル」ってのがあったとかないとかw)、よもやあやしいひかり(あるいはメダパニ…ってしつこいですか。ではこの辺でやめときましょ)

スクネ式(菊式)が「毒と暗示」だったとは…。

確かに東のところに乗り込んだときの「切れないアレ」って、なんだろうと思ったんだよね…私の想像力では「合気道の当身?」ぐらいまでしか届けなかった。


でも私個人は「本格格闘かどうか」ではなくオハナシとして楽しいかどうか、がポイントなので、アリです。面白いです。こんだけ格闘がブームになり一般化したら、一般人へ「思ってもないこと」を提示するべき「作家さん」としては「一般人が想像し得ないその先を提供する職業」として、リアルを超える提案をすべきだと思うので。本当に姫川勉の松尾象山への説明のあたりは「コレは本当に餓狼伝?」とは思ったけど、面白かった。
一時期「フクション」を「ノンフィクション」が追い越した、と思ったけど、やっぱすごいね、本職の方は、と改めて思いましたよ。もう元横綱・曙と一般人・ボビーがほぼ引き分けな現状ですから、それくらいしていいのだと思いますよ。


そして、もうひとつ今回面白かったのはプロレスラーの記述の部分。


「斑牛:伊達(上田馬之助)」にしても「カイザー武藤(ジャイアント馬場)」、「関根(鶴田?)」にしても、上田馬之助氏以外鬼籍の方では?とか思うけど、とにかく面白い。夢枕氏は格闘技好きでもあるけど、プロレス好きでもあるんだよな。

蛇足ですが先ほど出た「エドウィン云々(何かを自分のグローブに仕掛ける)」も伊達が「相手にダメージを与えるのとは逆なこと」をしていて面白かったw


「?」と思う部分もあったけど「!」と思った部分も多かった「新」餓狼伝でした。おもしれー。
小説もやはり読まねば、と改めて思いました。
改装版も出てるし、板垣シナリオも加わったマンガ版もあるし(私は全部は読んでませんが)オススメ!


もうこりゃ、マンガも小説も「伝奇」になってるな…