決闘者 宮本武蔵(3)

宮本武蔵 3 決闘者 (集英社文庫)

柴錬版宮本武蔵、完結編。その意外な結末は!?

当然、＜決闘者＞としての武蔵が主題ですので、これまでの「吉岡道場とのバトル」以上に、＜決闘者＞然とした展開。武蔵の強さを如何なく発揮する「行きずりのバトル（VS野盗やら海賊やら）」も当然ありますし、宍戸梅軒との決着も、「＜決闘者＞ってば…」という感慨深いものでしたし、超有名な佐々木小次郎とのバトルも「＜決闘者＞ってば…」という感じでした。まぁ、そこがこの作品特有の切り口なので、それはそれでアリ、ということで。

で、これまで「豪華」「周辺情報盛りだくさん」と述べてきたこの作品ですが、後半までその傾向は当然継続。
梅軒、小次郎、沢庵、その他戦国大名も登場し、神子上典膳改め小野忠明も再登場。「周辺情報」としては「弟子（養子）伊織」の物語も、武蔵と並行するように描かれております。そこでは（多分オリジナルキャラで、すごい人物、として）洗心洞幻夢、という超達人も登場して伊織の師匠となります。この「周辺情報」としての「弟子伊織の成長」もなかなか見ごたえがあったり、長期連載作品だけあって「主人公の傍流ネタ」が「成長」して、見事な剣客となっていくのを楽しむこともできます。

で、オチはナイショｗ　この作品ならではの決着となっております。

でも、さもありなん、と思いつつ、あっけねぇなぁ、とも思う。
これが＜決闘者＞武蔵が選んだ道なんだ、と納得と侘しさが混在する最後でした。

元が週刊誌連載ということで、小刻みに盛り上がりが設けられてたり、過去のエピソードにつながる話の場合は回想が本文でなされてたり、読者に優しいつくりになってます。通勤電車なんかでも楽しく読めますので、オススメ。