最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記

最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記 (光人社NF文庫)

最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記 (光人社NF文庫)

過去に読んだ軍記系のものと同様、おそらく著者の方は類まれな根性とユーモア感覚を併せ持った方だと「文章」を見て思うのですが


明るい話題や面白い語り口調を交えつつも、やはり戦場(特にココで語られる陸軍が行った南方)は相当過酷で、目も当てられない状況だったであろうことを改めて感じます。
この「ガダルカナル」「インパール」でのエピソードは過去に読んだものの中で一番過酷かも。幼いころ読んだ「はだしのゲン」のシーンを思い出したりしました。


ガダルカナルでの圧倒的な「食糧難」・・・最後は食うものが無くなって、「食ったら下痢して死ぬ」といわれているものしか残ってない・・・。人肉云々という噂も・・・。(それゆえ餓島と呼ばれた)

そして、インパールでの絶望的な距離の「撤退」。殺されはしないものの、怪我している状況で気候も激しい中、徒歩で気が遠くなるほどの距離を歩かないといけない・・・。その道のあちこちに日本兵の死体がごろごろ・・・(それゆえ白骨街道と呼ばれた)

両方とも相当厳しいと感じました。
私がこんなことを言うのもなんですが、筆者の方を含めた先人にお疲れ様というか感謝というか、正確には言い表せませんが、そういう気持ちを感じます。



ガダルカナルでは、食糧事情が過酷でない間は倉庫からのドロボー(個人から盗むのは悪だけど、倉庫から盗むのは、戦場で手柄を立てればチャラになるのでアリというローカルルールがあった模様。それはそれで違和感を感じますが)で糊口をしのいでいたみたいですが、いつまでもそれは続かず、やっぱ最後は栄養失調やマラリアで餓死・・・という「戦死」ならぬ「横死」の方が多かった状況のようです。

でも、そんなことも生き残ったからこそ書けることで、やっぱ「そんな状況」は可能ならば御免被りたい。

そしてまた、例のごとく「国の戦略・戦術・方針」としての失敗なんかも現場の声としてあがってたり。


まぁ、感想はいつもどおり「戦争はいくない」というものなのですが、戦況は相当過酷な部類だと思いました(正確には戦況というよりもインフラ不備の方が問題ですが)。