宵待の月 - 巻頭さん２

鈴木英治氏の戦国モノ。時は戦国、今川家。家督争いに巻き込まれる主人公は忍者!!　そして鈴木節は健在、なのです。

先日読んだ「血の城*1」と、忍者が絡んで、メジャーな戦国時代よりちょっと前の時代を描くという点で状況は近い感じ。
しかし、こっちは忍者の主人公の視点100％で描かれているので、そのあたりはちょっと違うか。

で、家督争いの主人公は「太守になる前の今川義元」と「主人公がサポートする義元の異母兄弟」。
鈴木氏はその「今川義元が太守になるまで」の過程においていくつか不思議な点があったためオハナシにした、とおっしゃってますが、これがまた忍者を介した謀略にぴったりマッチ。

いいネタをベースにいいオハナシが紡げた、という状況かと。

先日読んだ「日本人が知らなかった歴史の顛末*2」ではありませんが、「ほほう」と学習の機会にもなりました。

またハナシはゲームに寄りますが、戦国無双のマロも、戦国BASARAのマロもデフォルメ（というよりは改悪）されておりますが、当然本物はそれなりにキッチリしているので、歴史上の人物って様々な解釈をされちゃって大変だなぁと思います。

で、先日の血の城の時にも書きましたが、謀略・策略、城攻め、侵入などなど今までの鈴木氏の作品に無い感じの場面が目白押しです。しかし、違和感というネガティブな印象よりも「ダイナミックさの点でのスケールアップ」があり、同時に、今までの鈴木氏の作品のキャラが持つ「やさしさ」も垣間見えていい感じです。

この作品は血の城とリンクしているのかな？どうなのかな？とか思ったり、シリーズ化されるのかされないのか？なんてあたりも気になりますが、まずは面白い！ということでオススメします。