犬神博士

夢野久作全集〈5〉 (ちくま文庫)

夢野久作全集〈5〉 (ちくま文庫)

持ってるのはこれじゃなくて、角川版なんだけど、それはさておき


先日、舞城王太郎氏の「みんな元気。」「スクールアタック・シンドローム」を読んだとき感じた違和感。
でも既視感もある雰囲気。
これはなんだっけか?と、ふと思い出したのが、不条理というかエログロナンセンスの古典名作というか奇天烈世界観を持つ夢野久作氏の作品であり江戸川乱歩氏の作品でした。

で、蔵書から引っ張り出してきた「犬神博士」なわけですが、読んでみたら、舞城氏っぽくもあるんだけど、むしろサリンジャーライ麦畑でつかまえて)という風に感じました(より世間知らずで、無謀で、非力である辺りが)。

時は明治辺り(らしい)、舞台は九州筑豊
流しの芸人(という言い方をしておきましょう)の子供であり、一座(とはいえ主人公を含めて3人ですが)のメインダンサーである犬神博士の幼少のみぎりのオハナシ。


当時は幼児であった犬神博士の純な気持ちと、幼心に珍妙に映る世の争いごとが面白おかしく描かれております。


オトナになっても世の動きに対して違和感を感じることも多いですが、この作品では「博士の幼児時代の感想」を通して作者の「世の中って馬鹿なやつ多くね?」と思っているような意見が伺えるのですが、作者はどんなことを思っていたのでしょうか?

作品に収められているエッセンスはとてもバラエティに富んでいるともいえるし、まとまってないともいえるんだけど、でも「世に対する不信感、あるいは不思議感」というものは今オッチャンになっても感じるものだし教官もできる部分があります。

温故知新は大事だな、と思いましたよ。

次はドグラマグラを読んでみようかな?