柳生陰陽剣

柳生陰陽剣 (新潮文庫)

柳生陰陽剣 (新潮文庫)

私が時代小説を好む背景に「様式美(とそのアレンジ)を楽しむ」というのがあるのですが、この荒山氏の場合は、漫画や伝奇、SFを好む背景である「奇妙奇天烈なオハナシ・設定を楽しむ」というのがすごく大きいのです。


てなことで、今作。
以前にリリースされた「十兵衛両断*1」に収められた短編のひとつとして登場したオハナシの拡大版。

主人公は「凄腕の柳生新陰流の剣士で、博識な陰陽師で、イイオトコ」と、ちょっとずるい設定。
「凄腕の人探し屋で、人気のせんべい屋さんで、イイオトコ」とかよりプラスが多いw

またオハナシは朝鮮による日本侵略を主人公である柳生友景が防ぐ、というもの。
見所は主人公の属性のとおり「チャンバラ」と「妖術」。そしてその妖術の「土地柄」も大きくキイになっており、メラ!とかそんな感じではなくスケールの大きなものが続出。魔王は出るわ、怪獣は出るわ、古の王は出るわ、あれもこれも・・・という感じで、剣豪小説だと思って読んだ方は、なんじゃこりゃー!となるでしょうし、過去の荒山作品を読まれた方はニヤリとするであろうところ。

書いちゃうとネタバレになるので、なんとなく抽象的になってしまいますが、漫画的・伝奇的なもの、という感じです。

またさまざまな歴史的描写も多々あり、これはこれで興味深い部分でもあります。


男塾みたいな「真面目に奇妙なことをするオハナシ」が好きな方にオススメ。