退屈姫君 これでおしまい

退屈姫君 これでおしまい (新潮文庫)

退屈姫君 これでおしまい (新潮文庫)

毎回軽妙な地の文と、ユーモア&とんち展開(ミステリーというよりはとんちと言いたくなる)に、艶もあるオハナシで面白い米村作品ですが、中でも特にキャラも立っていた退屈姫君が、これで最後、とのこと。


オハナシは、「風流冷飯伝」「退屈姫君伝」「面影小町伝」の三部作のオールスターキャスト登場で、歴史薀蓄(今回は菊の育成)も絡みつつ、田沼意次とバトル。
知恵比べ、忍術バトルと「おっとり」「ほんわか」した米村作品でありつつも、いろんな要素がいっぱいで楽しめます。

地の文の語り口調や、登場人物の「ゆるさ」が心地よくも、同時に江戸時代の生活習慣・風俗の描写も検証に裏づけされたもののようで「硬さ(アカデミックさ?)」も感じます。このように、硬軟のバランスがよく、だらだらとした印象を与えないってのがすばらしいですな。


で、過去にも「恋に燃える」とか「海を渡る」とか、思わせぶりなタイトルが多くて、肩透かしというか、「なーんだ、そういうことか」ってなことが多かった退屈姫君でしたが、今回は本当に最後とのことでした。

残念ではありますが、米村氏の今後の作品に期待したいと思います。