生麦事件(下)

生麦事件(下) (新潮文庫)

生麦事件(下) (新潮文庫)

緻密でリアルで緊迫感のある「幕末の転換期」を描いた作品。読み終えました。


日本史とかでぼんやり習った印象だと、「気短な古臭い武士が外国人を切り殺して、外国人に付け込まれた」という感じなんですが、実際は「大名行列すっから、キッチリ外国人のみんなにも言っといてよ」と事前に幕府経由で諸外国に発信してたり、「情報が伝わってる外国人はキッチリルールを守ってた」り、一概に薩摩ばかりが悪いわけではない、という印象。

その後の動きは、前回の上巻の感想にも書きましたが「小説というよりはドキュメントっぽい感じ」だったりして、さまざまな登場人物が出てきて、ちょっと読み進めにくかったんですが、薩英戦争〜長英戦争〜鳥羽伏見の戦いまでの流れは、「リアル」で「緻密」な構成のよさが前面に出て手に汗握る展開でした。
そしてオハナシは江戸城無血開城の後、篤姫にも出てきた亀之助(徳川家達)が静岡に下る途中、生麦村を通過するシーンで終了。



事実は小説より奇なり。


ちゅうか、歴史の一大転換期だから、そりゃそうだわな。



そして、最後の解説を読んで驚いたのが、ここで描かれているモノガタリは「たった数年間のできごと」ということ。

黒船が来てバタバタしつつも「それなり」だった時代が、生麦事件をきっかけに一気に倒幕、大政奉還、そして江戸城無血開城と変わっていくさまはスピーディ。ちゅうか、ホントに激変ですな。形容詞として「激変」とか良く使うけど、いや、これ、ホントに激変だと改めて思いました。

そう考えると、やっぱ篤姫も激変だったわけで、家定に嫁いで2年で急死。嫁いで7年で実家がイギリスと戦争。11年で大政奉還、12年で江戸城開城、ですわ。


出来事としては把握しているけど「実際の期間」となるとどうだったか?を知るためWIKIとかで調べたのを篤姫+この作品で描かれた時代をざっくり並べてみた。

安政3年(1856年)11月に篤姫 第13代将軍徳川家定正室
安政5年(1858年)8月に家定死去、斉彬死去
万延元年(1860年桜田門外の変
文久2年(1862年生麦事件/第14代将軍家茂の正室として皇女・和宮が大奥へ
文久3年(1863年)薩英戦争/長州藩が馬関海峡(現 関門海峡)で航行中の米仏商船に対して砲撃
元治元年(1864年)英・仏・蘭・米の艦船17隻が馬関(現下関市)と彦島の砲台を徹底的に砲撃
慶応2年(1866年)家茂死去
慶応3年(1867年)慶喜大政奉還
慶応4年(1868年)鳥羽・伏見の戦い江戸城無血開城
慶応4年/明治元年明治2年(1868年〜1869年)戊辰戦争明治維新が成功し明治新政府が誕生。
明治2年(1869年)亀之助(徳川家達静岡藩知事に就任

個々の詳細はこの辺で見れるかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/薩英戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/下関戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/鳥羽・伏見の戦い
http://ja.wikipedia.org/wiki/江戸開城
http://ja.wikipedia.org/wiki/戊辰戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/徳川家達


まぁ、歴史上の重大事件なんで、最初っから調べりゃわかることではあるんですが、やはり小説とかドラマとかの媒体で興味を持たないことには、調べようとは思わないですよね。
でも、今回の篤姫ブームは、改めて幕末のことを学ばせていただきましたよ。

今後もちょこちょこ幕末モノを読んでみようと思いました。