タイムスリップ明治維新

タイムスリップ明治維新 (講談社文庫)

タイムスリップ明治維新 (講談社文庫)

鯨統一郎氏のタイムスリップシリーズの第二弾。今度は、私が最近読み込んでいる「明治維新」が舞台。主人公は前回も登場した麓麗。前作では「タイムスリップした人を迎える」立場でしたが、今回は本人がタイムスリップ。


歴史上の著名人と邂逅するのは当然として、この作品の面白さは主人公たちが、積極的に「明治維新」に関わるところ。
「元の時代に戻るため」には「歴史を改変しようとしている敵(未来人)」に対して「歴史をオリジナルに近づける」ようにしないとだめ、ということで、この時代に事故で取り残された別の未来人とともに「明治維新」に介入します。
タイムスリップものって、大抵「パラドクス」を起こさないように細心の注意を払うものですが、ココでは「本史とのズレ」を数値化して、それが一定数を超えるかどうか、という演出がなされております。ある意味「大発明」なのかなぁ、と思いました(タイムスリップものに詳しいわけではないですが、あんまり細かいことにこだわってると(例:バタフライ理論/効果)ハナシとしてのダイナミズムがなくなっちゃうしね)。この辺もハナシを面白くしている理由かも。

そして登場人物ですが、当然メジャーな歴史上の人物が登場。主人公と関わります。
桂小五郎中村半次郎沖田総司森の石松清水の次郎長坂本竜馬西郷どんも、勝海舟とも接触
篤姫も主人公との接触はないものの、登場しております。



で、主人公ウララの仕事は「正史のとおりに歴史を動かすこと」。
そして、敵はこないだ読んだ「幕末水滸伝」でちょっと活躍していたものの、個人的にはあまり注目していない小栗上野介

ココ最近幕末情勢に詳しくなったので、いちいち面白いですw 図らずも予習した上で読んだので余計に面白く感じたと思われますが、そうじゃなくても多分、鯨統一郎氏の軽妙な文章で、幕末モノ、SFモノ、青春モノとしても楽しめると思いますよ。


また当たり前ですが「同じ人物」でも、作品によって描かれ方が異なるので、その辺を楽しむのも一興ですな。
それにしても、やっぱ中村半次郎は元になるエピソードが男前なだけあって、どこで見てみいいオトコだな。そして篤姫では片岡鶴太郎がやっていた岩倉具視もいいオトコに描かれておりましたが、篤姫を見ていた自分としては納得できなかったなw


てなことで、オススメです。