未来歳時記・バイオの黙示録
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/18
- メディア: コミック
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で、まずは誤解を恐れずに言うと、昨年前と今で、読むタイミングが違うと、人によっては感想が変わるんじゃないかな?
表題にもあるとおり、世界は「バイオテクノロジー」が発達し、かつ無秩序となった未来世界。
冒頭はそんな農業・畜産の世界を描き、未来の変わった食べ物や農業・畜産の現場をほんわかと、でも徐々にブラックになって展開。
さらにエピソードは徐々に、農業・畜産の周辺にいて、かつ「敵対視」されている難民を中心に描かれるようになり、「バイオ」が必ずしも「幸せだけをもたらしているわけではない」ということがわかります。
この辺の「作品の目線が<ぼんやり導入だけど、じょじょに拡大・シリアスに変わっていく様>は「外天楼*1」に近いかも。
最終的に、この「諸刃の剣」である「バイオ」の被害面が、デストピア*2的に描かれつつも、一つのユートピアでもあるのかも、という解釈ができる感じもあるエンディングになります。
で、例の一件以降、いろいろ健康とか何とか、真実とか嘘とか何とか、あれこれ気になりますが、そのあたりがどうもキレイにハマって、ついつい「現実世界と置き換えて」読んでしまうのです。
そして、この作品で描かれる「デストピアはユートピアかも」的なブラックな終わり方の方が「ココ最近のアレ」に比べ、まだ「希望を持てる」と感じてしまうのです。
あんまり後ろ向きなことは言いたくはないのですが、ニントモカントモ、と思わずにはいられないのでした。
*1:http://d.hatena.ne.jp/djrtaro/20111108/1320683631
*2:諸星氏の作品を特集したムックで散見したので私も使ってみたくなったので使うw