手習重兵衛 道中霧/天狗変

 

私の中の「時代小説ジャケ買いムーブメント」のきっかけとなった「手習重兵衛シリーズ」。気づくともう2冊出てて完結してました(全6巻か)。ということで出張前の羽田で2冊購入し、出張終了とともに読了。(羽田にヒラ積みしてあるってことはやっぱ売れ筋なんだな)


【道中霧】
前作で「宿命のライバルに勝つための修行+ライバルと勝負」という、「剣豪モノ>ミステリーモノ」という配分できましたが、今度(道中霧)は「ロードムービー」的な旅行記モノ。敵である忍者の視線を気にしつつ、先を急ぐ姿はJOJO3部というか7部というか(何でもJOJOに置き換えちゃうのはよくないと思いつつも、書いちゃうw)。罠を掻い潜りつつ進むスリル感というか、「守るべき、そして心にチカラを与えてくれる大事な仲間がいる」これまでのシリーズとは違った新しい視点で楽しいです。
そんでもって、前巻でめぐり合った宿命のライバルも絡みつつ、謎の大ボスも登場し、(以下略)いよいよ「最終局面」に向かっていく雰囲気がジワジワ出てきます。


【天狗変】
前作を読み終わってスグにこの作品に手をつける。連続で物語が読めることの嬉しさよ。(といいつつ、単行本の刊行も1か月後という早いサイクルなので、リリースに合わせて読んでいた方もさほどじりじりしなかったのかな、と思ったり)
当初の重兵衛が「はめられた背景」から「新たな危機」から、今までの「未解決問題」も一切合財を決着をつけようという最終巻。ほほう、おうやはり!、え!?そうきたの? などなどもろもろがスゴイ勢いで動きまして・・・

でも、ちょいと「急ぎすぎ?」とか思ったりもしましたが、いかがでしたでしょうか?
出張中に2冊一気読み、という読み手側の状況がいけなかったかな?

しかし、筋的にもキレイにまとまり、各キャラがそれぞれの色を出しつつ展開し、手に汗握るチャンバラバトルもありつつ、最後のシーンの描き方も妙にベタベタせずにあっさり、でも「その絵が想像できる」感じで終わる、というのはとてもよかったです。

そして、願わくば、このあとも続けて欲しいのですが、寺子屋の子たちが「コナン」並に日常的に事件に巻き込まれるのも嫌なので、河上のダンナや吉乃あたりを軸にした「梵鐘」的な話は続けてほしいなぁとも思ったり。
最後までしつこく進めるんですがw上記のようにスピンアウト作品でも十分面白そうなくらいキャラが立っている作品ですので、オススメです。


■蛇足■
過去のシリーズ作品の感想は下記。※1作目の時はまだWEBとかブログとかしてなかったのでナシ。

【刃舞】(4作目)
http://blog.livedoor.jp/djrtaro/archives/11092099.html

【梵鐘】【暁闇】(2,3作目)
手習い重兵衛シリーズ 梵鐘/暁闇(ともに中公文庫の小説)
私、時代小説が好きなのですが「故人」ばかり読んでると「新作へのドキドキ感」がないので、何かいいのはないのかなぁと思って適当に手に取ったのがこの「手習い重兵衛」の1作目の「闇討ち斬」でした。派手さやけれんみはありませんが、シッカリジックリおもしろかったです。で、こないだ本屋に言ったら上記の続刊2冊が出ていたので購入したしだい。剣豪が主人公と言うこともあり、チャンバラには事欠きませんし、テイストとして「ミステリー」の要素も強く、登場人物たちもキャラが立っており、安心して読めます。
時代小説、ミステリー好きにはオススメです。