退屈姫君 恋に燃える

退屈姫君 恋に燃える (新潮文庫)

退屈姫君 恋に燃える (新潮文庫)

最近お気に入りの米村圭伍氏の「姫君」シリーズ最新刊。
前回の「海を渡る」に続き、今回は「恋に燃える」ですが…。


嫁いだはずの姫君が恋?とか思いますが、それは前回の「海を渡る」で、「え?海外?」とか思ったときと同様に…というのはご愛嬌。

大藩の娘ながら、弱小藩に嫁いだ姫君の周囲で起きる珍事件が、権力者である田沼意次の謀略と絡み合い… という展開は、これまでの姫君シリーズと同じ構成。

相変わらずのぼんくら展開(褒め言葉)。作者がゆるゆると語り、ぼんやりとしたキャラたちがあたふたと動き、巨大な陰謀を乗り越えていくあたりが、展開、見せ方、かもし出す雰囲気、すべてが「上手だなぁ」と感心します。

こういう風に言うとこの作品を「ぬるいお話?」思われるかもしれませんが、武家社会の凄絶な?厳格な?あたりも描かれていますので、バランスは悪くありません。

オススメの好作です。


■蛇足:過去の米村氏の作品群の感想

・風流冷飯伝
http://blog.livedoor.jp/djrtaro/archives/9922783.html
・退屈姫君伝
http://d.hatena.ne.jp/djrtaro/20050429
・面影小町伝
http://d.hatena.ne.jp/djrtaro/20050508
・退屈姫君 海を渡る
http://d.hatena.ne.jp/djrtaro/20050509