無言殺剣 大名討ち

ココ最近すっかりお気に入りの鈴木栄治氏の作品。昨冬のリリース。新シリーズなのですが、今度はどんな主人公!?


生真面目な逃亡者、頭のでかいトラブルメイカー、不良親子、女難?の浪人、などなど、様々なキャラ・背景を描いてきた鈴木氏は、ここでは「語らぬ凄腕浪人」を描いています。
「父子十手捕物日記シリーズ」のときも、今までの鈴木氏の主人公にないタイプ、的な物言いをしましたが、今回も「今までにない」感じ。
しかしながら、お話(筋)は今までどおりに面白く、キャラ(敵も味方も)面白い。

ただ、妄想した上での勝手な感想としては「剣豪ミステリー」から「チャンバラ伝奇(あえて言うなら柴田錬三郎)」という感じにシフトしているのかなぁとも思います。

当然「立場」の違いで「犯人を追う側(勘兵衛とか)」だったり「殺しの仕事を請け負う側(今作の黙兵衛)」だったりするので、「ミステリー色」の強弱は変わってくると思うのですが、主人公に「無言の凄腕浪人」を持ってくるあたりが、<これは主人公の数奇な過去を語るための無言>ではなく、話としての奇抜さ、キャラ間のコミュニケーションの面白さを描くための無言>なのではなかいと思ったり。(つまり物語の必然として、いつかは語るだろうけど、語らんでもいい、いやむしろ語らずにこのまま続けたほうが面白い「無言」なのではないかと)

すいません、柴錬作品によく見る突飛なキャラが好きなので、勝手にそっちに寄せた意見をだらだら言いましたがw

まだまだ時代小説作家さんとしてはお若い(私が若いというのもなんだけど)ので、今後も期待ですよ。個人的に「世はすべてRemix=本当のオリジナリティって、現代にはどれほどあるのかな?(反語)」と思っているので、どんどん鈴木氏が好きな既知の作家さんをRemixしたらいいのではないかと思います(ああ、ええと、鈴木氏がオリジナリティが無いとか言う話ではなく、過去の事例にとらわれずいろんなキャラを作り続けてほしいという意味です)。まぁあくまで個人的な希望ですが。

このシリーズは続刊も出ているので、速攻で2巻も読んでいます。3巻もこないだ出たし、買わねば!! 
ということで、時代小説好きでなくてもオススメ!!! 面白いよ。