預言者の名前

預言者の名前 (新潮文庫)

預言者の名前 (新潮文庫)

先日のアルマジロ王に続き、昔好んで読んだ作家さん(島田雅彦氏)の作品を引っ張り出して読む、の2


先日読んだアルマジロ王は短編集でしたが、今回読んだ預言者の名前は、大きなひとつの作品(とはいえ、長編じゃないですが)。アルマジロ王から2年を経過しての文庫化です。
ハナシとしては単純に「エンタメ性があがった(世界観・視野が広がった)」という印象です。


舞台を描く上で「ひねった設定や比喩」「皮肉っぽい日常シーン」だけでなく、厚みを持たせるための「デティール・・・扱う宗教や歴史的背景とか(映画で言うと海外ロケというか)」も加わったというか。
でも語っているものは「神」とか「そんな不確かなものに、なんでそんな必死なの?」とか、アルマジロ王と変わらない印象です(投げっぱなしなあたりもw)。コレにしても「何かにまじめな人を揶揄する匂い」も感じられ、斜に構えるお年頃の自分には合っていたのかなぁwと思いました。

しかし、先にも述べたように、エンタメ性が上がっているので、読み物として単純に面白くなっていると思いました。解説にもありましたが、作者自身が旅行を重ねたりしていたようで、「自分の経験の振り返りによる創作」ではなく「インプット+拡大を前提にした創作」というスタイルに進化したのかなぁ、と。

コレは、純粋に今読んでも面白いですな。あと、ナニがあったかな? また他のを読んでみようと思います。