十兵衛両断

十兵衛両断 (新潮文庫)

十兵衛両断 (新潮文庫)

荒山徹氏作品閲読三作目(短編連作)… これも面白い!!!


魔風海峡 (上) (祥伝社文庫)魔風海峡 (下) (祥伝社文庫)*1のあとだとちょっと「弱い」気もしますが(というか魔風海峡がアクが強すぎるw)、しかし例のトンデモ忍術とも言えるギミックは健在で、さらに剣戟と、歴史的事実を背景にした「大胆な推測」というか「虚実入り混じった展開(多分)」で柳生に絡んだ登場人物たちが暴れまくります。

解説にもありましたが、個々の短編のネタは、そのまま長編にもできそうな出来栄えで、かなり豪華な感じの短編集でした。さらに「十兵衛に始まり十兵衛に終わる」というか、1冊としても関連付けされていて、最後は「おわー!!」と、また驚くやら感心するやらココロが震えるやら、という感じ。


以前、なんかの感想にも書きましたが、柳生はいろんな人に書かれてて、それぞれを読み比べるのも楽しいですな。私の中ではマンガでなければ「吉原御免状 (新潮文庫)」の柳生はすごく印象に残っているし、こないだ読んだ「決闘十兵衛―柳生連也斎 (徳間文庫)」などの柳生連也斎シリーズも面白かったし*2、「剣豪3(ゲーム)」にも出てくるし(そこでは十兵衛と宗矩が仲たがいしてたなぁ…)。

「柳生」はやっぱ、みんながよく知ってる「戦国時代終盤〜江戸時代黎明期」にいろんな関係者が活躍していて史実にキッチリ残っているというのと同時に、一方で謎や特殊性があったりするので、その辺のメジャーな歴史上の人物と絡ませやすかったり、謎や特殊性のミッシングリンクを埋めるということで、作家の皆さんが様々に創作されるのだろうなぁ。おもしろいなぁ。

そんな中でも、この作品は「荒山節×柳生」ということで、ギミック的にもシナリオ的にも(荒山氏の韓国絡み作品を読んでいると、それらと被るキャラ・エピソードが登場したりしますが)、かなりいい感じのケミストリーです。


コレは(魔風海峡ほどぶっ飛んでないしw)皆さんにオススメです。