逃げ水の坂―口入屋用心棒
- 作者: 鈴木英治
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 文庫
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最近すっかりお気に入りの鈴木英治氏のまだ手を出していないシリーズ物に着手。
鈴木氏の作品はおおよそ「剣豪ミステリー」としてカテゴライズされていると思っておりますが、単純に「剣戟」「謎解き」というだけでなく、「キャラの魅力」というとこともポイント。先日来いいなぁと思っている「音無黙兵衛シリーズ、というか無言殺剣?*1」や「父子十手捕物日記*2」などは、そのあたりが顕著。
キャラのやり取りを読み、ほのぼのと、クスリと、あるいはニヤリと笑ったりというような感じです。
最近なんとなく思うのは、「笑い」って、若い頃は「ネタの組み合わせの斬新さ」「忌避されるものをあえて言うこと」=「未知のもの」に対して発生するものでしたが、歳を取るにつれ「回顧」=「既知のもの/自分の周囲で過去に起きたことに置き換える」も要因として加わってくるのだなぁ、と感じています。
ちょいと話がずれるかもしれませんが、「バカ姉弟@ヤンマガ」や「家庭教師ヒットマンREBORN!@ジャンプの今のバトル路線になる前のゆるいギャグ路線」「浦安鉄筋家族@チャンピオンの小鉄たち子供の思考パターン」が好きなのもその辺のノリだからかも、と思いました。
さて、話を戻して今作についてですが、当然魅力はキャラだけではなく、剣戟の方も面白い工夫がされています。
小説でもマンガでもなんでも「強すぎる主人公・キャラはハンデを背負う」ということがありますが(例:負傷・病気、大事な人を人質に取られる、時間やバトルフィールドの制約など)、その辺がドラマともうまく絡んでいるようで、これまた面白い。「るろうに剣心」のように中途半端に逆刃刀ではなく、そう来たか!という感じ。
とはいえ「逆刃」であっても「アレ」であっても、それなりに当たれば「死んじゃう」とは思うけどねw
「用心棒」という「ハードな剣戟」を想像させるタイトルの割りに、全体として「ぬるい」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、でもまぁ「こーいうのもいいんじゃない」という感じの「あたたかさ」として好意的に受け止められる好作。オススメです。
それにしても「嫁不足」で困っている江戸時代にいい感じでモテてる主人公はいいなぁ。
続きをまた買い求めたいと思います。