鬼哭の剣―介錯人・野晒唐十郎
- 作者: 鳥羽亮
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 1998/07
- メディア: 文庫
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先日「よし」とした鈴木英治氏の口入屋用心棒の直之進とは、違った意味で「よし」と思った介錯人野晒唐十郎でした。
先日より「鳥羽氏の作品は剣の理がイメージしやすい」と述べておりましたが、その鳥羽氏が「居合い」を引っさげた主人公を描きます。今まで「居合いの勝負は鞘の中で決まる」とか、その辺の知識しかなかったのですが、この作品のおかげでちょいと「居合い」に詳しくなったような気がします(ちゅうても小説なので、いかほどかは推して知るべし)。
「居合い」というとサムスピの「橘右京」のようなニヒルなイメージですが、この主人公:唐十郎は、仕事で試刀(死体や罪人を斬って刀の切れ味を試す)をしているということもあり、やはり天真爛漫ではなく陰があり、ニヒルな感じ。殺伐とした剣戟シーンも多いのですが、主人公には妙に合ってます。
また、「鳥羽氏の作品は剣の理がイメージしやすい」と書きましたが、「剣の理」から考えるとそれらの殺伐としたシーンも説得力があるので現代人の感覚からすると陰惨ともいえる「サツバツ」ではあるけど、「それはそうなるものだ」と、勝負としての剣戟の観点では、これまた妙に納得。
(例:勝負しているお互い腰が引けているので、間合いに入れず、それで剣を振るうので指とかが飛んじゃう)
どこぞのイイカゲンチャンバラマンガに読ませたいですがw
(でもジャンプでその辺をさらっと描くわけにはいかんと思うけどw)
てなことで、これまた続きを読みたい好作でした。