さらい屋五葉(2)

さらい屋五葉 第2集 (IKKI COMICS)

さらい屋五葉 第2集 (IKKI COMICS)

「時代小説×クライム系?」ということでジャケ買いして2巻目。私的には「湾岸MIDNIGHT」を彷彿とさせます。


そう思わせる背景は「各キャラの台詞」。

「物語」のために「台詞」があるのか、「台詞」のために「物語」があるのか、その辺の比重が「この台詞を言わせたいがためにこの物語を紡いでいるのではないか?」と思わせるほど、「痺れる台詞」が散見されます。

そういう意味で「オハナシ」は、この五葉にしても湾岸にしても「斬新などんでん返し・ギミック・設定がある」という感じではなく「普通」。王道ともいえる。

オハナシは普通なんだけど、ときおり「ぽろりとキャラの口からこぼれる台詞」に痺れる(吉田聡氏の作品にもたまにあるね。ワンピースでも痺れることはあるけど、あれは「話とがっぷり組んで効く組み合わせ」なんだよな)。


絵は「今風」とも「独特」とも「上手じゃない」とも「白い」ともいえるかもしれませんが、これらの「台詞」とのバランスはいいように思います。

作品全体として、とてもいい作品だと思います。

オススメ。



追記
①この作者、調べてみたらBL系の作家さんでもあるのね。
コミティアという私的には懐かしい単語も発見したよ。

「その世界」を詳しくは知りませんが、BLのLはLOVEですから、その辺の「(やるせない?)恋」を描く上で「台詞」は重要だと思うので、その辺の「痺れさせる台詞」や「間の取り方」はお手の物、というところなのかな?

そして素朴なBLに対するギモン。
男女なら結婚とかある程度のゴールがあるんで、一応の決着はつけれるけど、BLの場合って、どういうのが「大団円」なのかな?
同棲? 死ぬまで同棲? やったら終わりってわけでもないよね? 偽装結婚して、隠れて不倫?
とか考えると、この「痺れる台詞」は、BLという物語において、「どういう決着か(結論)」ではなく「どれほど愛しているか(過程)」を伝えるために必然的に発生したものであり、その作者が、このようないい感じの台詞が出てくる作品を描くのは当然かなぁ、と思いました。

「BLの大団円」についてはBLに詳しい女子オタの知人に聞いてみようっと。


②「痺れる台詞」で、ふと「ボーダー*1」を読み返してみたり。
それでまた痺れたり、ボーダーになってみたかったり。単なる現実逃避かw