タイムスリップ釈迦如来

タイムスリップ釈迦如来 (講談社文庫)

タイムスリップ釈迦如来 (講談社文庫)

鯨統一郎氏のタイムスリップモノの第三弾。今度も麓麗が過去へタイムスリップ。時代はお題のとおり仏教生誕の時代+場所の古代インド。


そして、前回同様「歴史を本史通りにする」ことで、現代社会に戻れる、ということで「仏教を世界宗教にする」という目的になります。

が、この世界?の釈迦は「オカマ」で、「現代の我々が考える仏陀らしくない人」でした。
口が回るというか、適当というか、仏教だけじゃなくてキリストの台詞なんかもぽんぽん飛び出す「自由人」なわけです。ソレがある意味「解脱」している感じではあるんだけど・・・。
仏教の興りも、バラモン教が「修行を是とする」のに対して「めんどうだだし大変だから修行は嫌」ということでできたような感じで、ちょっと頼りない。


でも、こんな仏陀(仏教)を世界宗教(メジャー)にしないと現代に帰れない!!ということで、不幸にもウララと一緒にタイムスリップしてしまったダイビングスクールの校長は、ウララとともに「世界宗教になるための障壁:老子ソクラテス」を弟子にすべく、インドだけでなく西へ東へ奔走します。
で、オハナシとしては「宗教」だったり「哲学」だったりするので、一見難しそうですが、そこは鯨氏のオハナシですので、皆様楽しめるエンタメになっております。この辺はさすがだなぁと思いますよ。


そんな硬軟織り交ぜた展開を見ていると、ふと、「聖☆おにいさん

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)

はこの辺のブロークンな釈迦からインスパイアされたのかしら?と思いますが、これは単なる私の妄想。



ともあれ、この作品も鯨統一郎氏らしい、駄洒落アリ、聞き間違いネタアリ、荒唐無稽アリ、でも「それなりに筋が通っている」感じで面白かったです。
オススメ。


というか、今のところ、鯨氏のオハナシは私的に外れがないぞ。本腰入れて鯨氏の本を読んでみよう。