陰の季節

陰の季節 (文春文庫)

陰の季節 (文春文庫)

義母の文庫からいつの間にかうちに来ていた模様。本棚にあったので読んでみましたが、これは苦面白い、と思いました。


解説によると「管理部門小説」ということらしい。
いわゆる「警察小説」だけど、相手は「犯罪者」ではなく身内。
これ以上語っても解説とそう変わらん内容になりそうなので割愛しますが
リーマン魂に響く作品(短編集)でした。

幸い、うちとこ(というか私個人が認識してない、あるいは私個人が致命的なことをしていないだけかもしれないけど)は、この作品群の登場人物たちのように「部下・同僚・上司に刺されて左遷ってのが日常」みたいなこともないので、ぼんやり「客席」から読んでました。
「切ない」とか、感傷的な部分だけでなく、「なりふりかまわず昇進」という人間としての「等身大の欲望(海賊王とかじゃなくて)(さらに言うと自分自身そういう志向がないので、「等身大」と言いつつ実感が持ててもませんが)」も垣間見た気がして面白かったです。
しかし、そんなメンタル的な部分での「エンタメ」ではありましたが、「自分に起きてもおかしくない」というリアリティがあり、「苦面白かった」です。

蛇足として言うと半落ちの作者の方らしい。その辺も読んでみようと思いました。