還って来た紫電改

ファーストガンダムカイ・シデンの元ネタになったのは我々の世代では常識ですが…、ということで、私のミニブーム「太平洋戦争を一般兵の視点を読んでみる」の、初の「飛行機乗り」さんの本です。

還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語 (光人社NF文庫)

還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語 (光人社NF文庫)


まず思ったのは「今まで読んだ陸軍の作品とは主題が全然違う」ということでした。
おそらくそれぞれの作者の立ち位置が、今作品の「職業軍人のエリート」と、今まで見た作品の「徴兵された一般兵」ということで大きく異なったのだと思います。
前に読んだ戦艦モノ*1もどちらかというと軍記というより戦艦図鑑っぽかったので、海軍の一兵卒について(一部だとは思いますが)知れたのかなぁと思います。

また、陸軍と比べ「凄惨」「悲劇」という観点では、飛行機乗りの方が「ほぼ全滅…今作品の作者さんの同期は51/68が戦死とのこと」ということで亡くなった率は高いのかな、と思いました。とはいえ「凄惨」「悲劇」のポイントが違うのだと思うけど…
(陸軍は食糧難+マラリアによる被害で、海軍は「親分の作戦ミス」か、今作品に見える「戦場としての過酷さ」「飛行機という乗り物のリスク」、「特攻に代表される命を投げ出す作戦」というところかな)

ともあれ、やはり「職業軍人」としての観点が強いのではないかと思われるのは、死に対してのコメントが「戦争はひどい」「NO MORE WAR」という感じではなく「惜しい人をなくした」的な「悲しいけど、これ戦争なのよね、的な必然」として捉えているように思えたところ。(誤解の無いように言うと、あくまでこれは私の「陸軍の戦記もので感じた事」との比較であり、主観であります。おそらく作者さん自身は戦争礼賛者ではないです。ソレはソレ、コレはコレ、という潔さは感じられましたが)

かなり丁寧にじっくり書かれた作品で、フィクションであると同時に「記録」としても興味深く読ませてもらいました。



もともとの「戦争に興味を持った」という背景である「戦記モノマンガ」では、この作者さんのような「職業軍人」的観点を持った人が多いのかなぁと思いますが、まだもうちょっと「リアル(太平洋戦争モノ)」も「フィクション(戦記モノマンガ)」もいろんな作品を読んでみようと思います。

私個人的には「戦争は無いに越したことは無い」と思いますが、起きたら起きたで「国防」という観点でのみ同意しそうな気もします。

まとまりませんが、「極限」というものは人間ドラマとして感動を呼び起こすものだとは感じました。戦争を礼賛する気はまったくないですが。かといって、やたら火山が噴火したり竜巻が起きたり、隕石や彗星が落ちてきたりするもの嫌ですが。
災害、戦争、事故、事件にあわないに越したことは無い、と強く思うので、何も無ければイイなぁ、というのが一番強く思うことです。はい。

ほんとにまとまらんな…。

蛇足:日米の飛行機の性能についても専門的に詳しく語られているので、現在「湾岸ミッドナイトヤングマガジン」で語られている「ゼロ戦がどうの」いうあたりの理解も深まりました。