蒼い月

解説で言われて初めて気付いた。確かに剣戟はなかった。でもあんなに面白かった。


というわけで、チャンバラミステリーのホープ?(って俺が言っていいのか?w でも解説にそんな感じのことが書いてあった)鈴木栄治氏の「父子十手捕物日記シリーズ」の感想。

徳間文庫は比較的マイナーなのか近所の本屋にはこの「蒼い月」がなくて、でも次作である「鳥かご」はあって…、てな感じで購入が遅れた本書ですが、都会に引っ越したカイシャの近所の本屋には普通にあったので購入。


もはや「群像劇としてのこのシリーズ(魅力的なキャラクター+関係性が目白押しです)」にはまってしまったからか、日ごろ時代小説の感想を書く際に「剣戟の多い少ない」がポイントになったりしてますが、この作品は、「剣戟がなくても面白い」という感じでつぼにはまり、解説の方に言われる(書かれる)まで、そんなことは気にせずに満足に読了しておりました。

とはいえ、じーんときたり笑ったりするのは、結構「ベタ」なシーンだったりします。
これは私が「そーいうベタなモノ」をじっくりかみ締められる年齢になったと言うことか?(あ、でも、マンガで変にそうされると腹が立つのはなぜだろう。画力か? 前フリを丁寧に描いているかどうかからか?)

で、作品としては前々からの「恋の鞘当(本書の解説でも丁寧に説明してくれていました。)」やら「子供の掏り(これは寝かしてたネタ)」「幼馴染とのケンカ(これは最早ドリフの域だと思います)」「旨いものを食わす店(これは池波正太郎氏を彷彿とさせます」「謎のうどん屋(本当に旨いうどん屋に行きたくなる。東松原のうどん屋にまたいきてぇなぁ)」など、シリーズを踏襲する形で展開。すっかりその世界観に浸るのが楽しくなっているので、前作からちょっと間が開きましたが速攻で没入。

お克のエピソードには驚きましたが、同時に「ジャングルの王者ターちゃん」のジェーンみたいなもんか? と速攻マンガに変換してしまい我ながら苦笑しました。

あとは「この父子が呑み交わすシーン」もよかったですな。ココは個人的な経験も後押ししていると思いますが、うちのオヤジが、私が結婚した後に呑んだら、なんだか一人前と認めてくれたようなことを言っていたのを思い出します。

なんか、散漫としてますが、多分マンガが好きな人にもきっと喜んでもらえる時代小説だと思うので是非ご覧いただきたいと思います。フジョシの方は父親の丈右衛門にはまる人が出てもおかしくないと思いますよ。(なんだその薦め方w)。

てなことで、オススメ。