アルマジロ王

アルマジロ王 (新潮文庫)

アルマジロ王 (新潮文庫)

俺夜DJのomaeさんのブログを見て、この作者を思い出し家にあって一番最初に発見したこの作品を再読。


多分この作者の作品の読み始めは大学生のころ。その時、自分が何を求めてこの作家さんの本を読んでいたのか?
周囲の人々とは違う何者でもない自分を探していたのか?
しかし、今読むに、周囲の人々ナシには成り立たない自分を改めて確認しました。

若いころってば視野も狭くて、そのくせ「なんかスゲー自分」みたいなものに期待していて、こういう「ちょっと毒があるユーモア」を含みつつ、なんか「高潔っぽいもの」を読んでいたのかなぁと。



で、先にも述べたように、個々の主人公は高潔そうなんだけど、周囲に甘えているように感じられました。そりゃ「自我」とか「意思」「自尊心」「個性」、その他諸々って大事なんだけど、でもやっぱ「メシを食って生きる」という事実の背景には「周囲の誰かしらのサポート(親、友人、パトロン、カイシャなどなど)」もあるわけで、その辺を軽視している(というかあまりフォーカスしていない)ように感じました。
というか、作品として「描きたいテーマ」があれば、わざと描かない部分が出てくるのは当たり前なので、そういう作品を好んで読んでいた自分に対しての意見、ですな。
こういう自分探し的なものって、一見「オリジナリティあふれる日々の行動」のようでいて、でも、それらを集めて「1年」とか「人生」という、ちょっと離れた尺度で見ると、結局「普通」だったりしますもんね。
あの「魂の行動」「イキザマ」とも思っていたアノコロの自分のアクションも、もう「飲み会(で気まずくなったとき)のネタのひとつ」でしかなかったりw(ソレはそれで良い経験したと思ってるけど、人から見たらそんなもんだ、という意味で)
でも作品中の「ちょっと毒のあるユーモア」は未だに面白かったです。


まぁ、そういう変化もアリ、今現在はベタな展開(ここ最近でいうとバカ姉弟や父子十手捕物日記シリーズとか)を好んだり、完全にエンターテイメント(自分探しとか内面的な何かではなく、批判も肯定もなくひたすら刺激(まだ見ぬギミック・痺れる演出)を求める傾向)を好んだりしているのかなぁと。


なんか過去の自分を否定するような感じですが(今が日よっているだけ?堕落した?w)、まぁ、人って変わるもんだし、たまにはこういう読書も面白いかなぁと思いました。他のも読んでみようと思います。昔読んだ本を引っ張り出して読むのは、これはこれで面白いです。