ベトナム戦記

ベトナム戦記 (朝日文庫)

ベトナム戦記 (朝日文庫)

昨日アップした「同日同刻」に比べる(というか連続で読んだためどうしても比べてしまう)と、シンプルに「発信者の意図」が伝わってきてモヤモヤのない感想がアウトプットできそうな感じ。


開高氏のお魚系のお話で感じられた、おおらかさにつながるユーモアとちょっとした面白い言葉遣いなどが今作でも散見され、なかなかののんびりムード。と同時に、ベトナムは「全土が最前線」というベトナム戦争特有の「緊張感」も描かれて、戦争が普通に持っている「生と死が隣り合わせ」というのが際立っていたなぁと思いました。


さらに、作者の目から見た「米兵とベトナム兵」の比較とかもなかなか興味深く読みました。

恐らくこの辺の歴史にお詳しい方には周知の事実かと思いますが、やっぱ変な戦争だなぁと思います。
「個々の米兵は1年で帰っちゃう(そーいう約束だから)」「ベトナム兵は終わるまでずっと(自分の国だから)」ってな環境で、一緒に戦おうね、なんて言っても、ベトナム側はいやだよなぁ。それに「勝ってどうなる?」ってあたりも「すっげー良くなる」イメージ持てないし。味方の筈のアメリカ軍が田畑を毎日バシバシ砲撃して、挙句の果てに枯葉剤・ナパーム撒きまくりですよ。(現在「その後の弊害」が指摘されていますが、当時にしても膨大な面積を持つベトナムの森に対する無駄な行為として捉えられていたようです)。
そりゃべトコン(VC)になっちゃう人も多いだろうなぁとか思いました。


で、タイムリーというかなんと言うか、昨晩ニュース23で沖縄の基地移転の話が出てましたが、この人たちは相変わらず「自分たちのルール」で勝手にやってんなぁ、と思いました。幸い?時代が進んで戦争で「局地戦」というケースは少ないのかもしれないけど、可能性として「お前ら守る。金よこせ。」←今ね、「お前ら守る。この武器試させろ。バッチリだ。」とか言いながら安全性に問題のある武器・兵器を使いまくって余計な置き土産(劣化ウラン弾とか)を増やして「自信満々」で帰って行きそう。北朝鮮のミサイルも打ち落とせないんだったらいらないんじゃないかと思うけどねー。きっとミサイルが日本に当たっても悪びれずに「できることとできないことがある」とか「じゃあ、お前やってみろ」とか逆切れしそうだし。


すっかり話がずれますが、米軍の引越し先のグアムの兵士にあてがう家1軒の値段が8000万円なんだって。プール付とかみたいですよ。そんなのに付き合う必要+財力あんのかな(反語)。

ハイロウズアメリカ魂とか思い出しました。



さて、大いにずれました+まとまりませんが、端的に言うと、ベトナム戦争の持つ奇妙なバランスを体験した作者によるユーモアと鋭い視線でのルポ、というところでしょうか。(「輝ける闇*1とは双子の兄弟みたいなモンですな。解説では、この作品を「小説の匂いのするルポ」、あちらを「ルポの匂いのする小説」みたいなことを言ってましたが)。


その昔の一時期「ベトナム戦争モノの映画」が流行りましたが、日常と非日常、生と死、裕福と貧困、本音と建前、理想と現実、正義と「正義じゃないもの」、などなど、想定できる「両極」が同時に存在する場所と感じられたので素材にしやすいという部分があったのかなぁと思いました。


個人的にモヤモヤはしてないけど、文としてはバラバラとした感想になりました。失礼・・・。
てなことで、この辺で。

*1:

輝ける闇 (新潮文庫)

輝ける闇 (新潮文庫)