鋼の錬金術師(15)

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

今までも様々な「現実ってキビチイ(マンガだけど)」ということを発信してきたこの作品。今回は「戦争」を描いてます。


この切り口で戦争を描けるのはマンガ(というか第三者による描写)だからこそ出来る表現なのかなぁ、と思ってます。ここ最近、いくつか「軍記モノ」を読んできましたが、主に「被害者的観点」*1「開発者*2」「戦場外の人々*3」からの観点や、事実を基にしたフィクション*4が多いように気がします。あ、飛行機乗りの方のは「兵士」といえば兵士だけど、直接自分の手で、という感じとはちょっと違う感じですな。
本当に戦争で目の前の人間を手にかける、という形で生き死にに関わった方は多くを語らないのでしょう(巻頭言で作者が書いているように)。

しかし「そういうものがある」ということは我々は知っておくべきだと思います。
(きのう、ドンパチ好きとしてのマンガの感想を上げましたが、あれはフィクションとして楽しんでいるということで)


というような重いテーマを描きつつ、主要キャラの過去も描き、作品・エンタメとしてもキッチリ成立しております。さすが。荒川氏、腹くくって描いているなぁ。

お話としては、昔何があったか、という、人気漫画ではヨクアル「回想」ですが、こういう形だと、なんだかすんなり納得できますな。苦し紛れ(星のブンガのアレは酷かったように思いますが、いかが?)や人気に乗っかった延命策じゃなくて、作品のテーマの1つとして描かれているので。

また「等価交換」とかその辺の「作中のコトバ」が、流行り言葉になりつつも「厳しい現実」を伝えていたりもしますが、それに相当する「作中のコトバ」も様々登場していたように思います。いちいち挙げているときりがないのでしませんが。

鋼の錬金術師、オススメです。