大江戸テクノロジー事情

なんとなく文系江戸学部のネタかと思って手にとってみたら、理系江戸学部でした。で、内容は「科学×江戸学」エッセイという感じで正確には時代小説じゃないですが、まぁその辺ということで。


時計やからくり、銃など十数のテーマとともに江戸時代を語る形式。このいい感じの小刻みな構成がラッシュ時の「混んでる状況にあわせて得物を変える」スタイルにマッチ*1。お話も検証的なものも多くわかりやすいし(理系のいいトコロだ)、新鮮でした。

朝顔の話なんかすげーなーと思いましたよ。ぜひ読んでみてください。

が、しかし、この作者、現代社会の科学にちょい一家言あるらしく、結末は「趣味に走った江戸だけど、それでいいジャン江戸時代、現代科学が何をした?地球壊して楽を手にして」みたいな紋切り型の現代科学批判。初出は雑誌の連載だったようで、ソレもやむなきことかと思いますが、通勤ラッシュでソレを読むと「もういいから」という気持ちにちょっとなります。

言いたいことはよーくわかりますが、ちょいと苦痛でした。でも言っていることは間違いじゃないのです。江戸時代は科学的には停滞していたのかもしれないけど、諸々うまいこと回ってたみたいだし。

でも、今から行灯の生活になれって言われても無理な話だし、まぁ難しいですわな。


てなことで、軽い気持ちで読みましたが、狙ったとおりの面白い話もあり、なかなか重い主張もあり、結果的にいいバランスだったのではないかと思います。
この作者のほかの著作も読んでみよう。


でも他の作品も「一家言」まみれだっらちょっとやだなぁ。

*1:すっごく混んでいたら携帯でニュースを眺め、ぼちぼち混んでたら文庫本を読み、そこそこ空いてたらマンガ週刊誌を読むか、DS(というかポケモン)をやるのです