みのり伝説
- 作者: 尾瀬あきら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/02
- メディア: コミック
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ネタがライターで、ウチがマンガ好き夫婦、ということで知人から全巻一気にいただきました今作。2,3日に1冊くらいのペースで読了。
こんなブログを更新するのもある意味「ライター」。当然報酬はないので自己満足ライターでしかないのですが、文章で人に何かを伝えたい、というキモチはゼロじゃない(というかアリアリだったり、単に自分の「頭の中の整理」のために書いてあることも多いですがw←文章に置き換えるということをしようとすると結構スッキリするんだよね)。
かといってid:kokoroshaほどキッチリ作品の形にする気もないのも事実。
でも、シゴトで文章みたいなものを書いてないこともない。知人にライターさんもいます。
それでいてマンガ好きな私から見た感想。
…。
最初は設定について。
主人公の属性は「ライター」でしたが、作品として「それだけに特化」しているとオハナシが成り立たないわけで、そのあたりに「未婚の30前の女子」という設定を加えておりました。
方法論として「何か+何か」は新しい価値を生み出す!ということは先日の「ユンボル」のところでも述べましたが、「意外性・新しい切り口を提示する面白い作品」に欠かせない構成要素です。
今作でも「職業(ライター)+その人個人の人生観(未婚の30前女子)」という組み合わせは、職業のリアリティを出しつつ、人生も描ける、というある意味「優等生な構成」。
しかし「未婚の30前の女子」にしてしまったがために、オッチャン的には共感するところがなく、むしろ「つまらない」と感じてしまいました(正確に言うと他人の痴話喧嘩を読むほど暇じゃない、という感じかな)。
ひょっとすると、オッチャン読者向けには「主人公が恋する年齢中年熱意青年な感じのオッチャン」へ自己をダブらせるギミックがあったのかもしれませんが、私は引っかかりませんでした。
なんか、単なる「いいハナシ系マンガで、たまたま主人公がライター」てだけのハナシでしかないハナシもあったように思いました。
そして、もうひとつは、そもそもの「職業:ライター」のところの「描き方」。
「とにもかくにも素晴らしい」という状況をマンガで表現する場合、「まったり」に代表される言葉を紡ぎだして「マンガ」で「味」を表現しようとした「美味しんぼ」という「とにかく語る」という方法と、歌(歌謡曲?芸能界?)のマンガでありつつ、その「歌」を「絵」でのみ伝える方法を選んだ「TO-Y」*1という作品もありました(若年時代にその潔い?表現方法にかなーりインパクトを受けました。マンガってこういうのもアリなんだ、と思いました)。
そして、アニメになっちゃいますが、「旨い」を表現するために、過剰な演出を行った「ミスター味っ子」とかw
いずれにせよ「言葉に出来ない素晴らしさ」を表現するために、過去、様々な手法が考え出されてきた、と思うのです。
で、この作品では「みのりの書く文章がいかに素晴らしいか」を伝えるために、微妙にその「みのり」の文章を出したり、出さなかったりで、たまに他人の評価を媒介にしておりましたが、その辺が微妙。
作中に文章が出ても「そんなすげーのかなぁー」とか感じましたし、「他人の評価ポイント」というのも「30前にそーいうことして褒められるんだぁー(小ばかにしながら)」とか思ったり。
このあたりの「素晴らしい」の表現手段も、なんか中途半端に感じられました。
一方でこの作者、「夏子の酒」の作者の方でもありますが、私はソレは読んでないのですが、その作品ではどのように「酒の味」を表現しているのか、気にはなります(でも比較的ネガティブなスタートでもありますし、日本酒はあまり相性がよくないのでw*2、さほど読もうとも思いませんが)。
そして、最後は「取材」と「作品を構築する」ということについて。
最終巻に「協力者」としてクレジットされていた実際のライターさんの書いた文章にもありましたが、作者さんは約20人のライターさんに取材されてこの作品の土台にされたとのこと。
取材を土台に「どう描くか」というのは「作者の腕の見せ所」だと思うのですが、「取材をした」ということは「リアルを基にしているだけにリアリティ」があることだとは思うのですが、「それを物語に再構築する」という意味では「リアルだけじゃだめ」だと思うのです。こと、今作は「主人公の成長物語」でもあるのですから。
作中、古強者的な男性ライターが登場するシリーズが中盤にあるのですが、そこでの主人公のしたことは、到底「取材の基礎と思われるところ」の欠落で(まぁ、忙しいとかいうエクスキューズができるのかもしれませんが)、 中盤に持ってくるネタじゃないよな、とか思ったり。
言い出すときりがないのでこの辺にしておきますが、なんかその辺がちぐはぐな印象がありました。
まぁ、イマイチだ、と一言言えばいいのですが、なんか主人公が「文章を書く人のお話」「同職につく知人もいないこともない」ということで長々書きました。
先ほど「協力者として出たライターさん」の「最終巻の文章」にもありましたが、百人百色な職業でもあるので、まぁ1サンプルとしてみたら、まぁ、こんなものなのかなぁ、とも思いました。
ちとムキになりすぎたかw
あとは、恋愛描写が多くてウザかったってのもあるな。まぁ、だったら読み続けなきゃいいじゃんとも思うんだけど、もう手元に全巻あるし、貧乏性だし読んでしまいました…。
ではこの辺で。
*1:
*2:モノを壊したりなんだりするんだよな