間に合わなかった兵器

間に合わなかった兵器―もう一つの第二次世界大戦 (光人社NF文庫)

間に合わなかった兵器―もう一つの第二次世界大戦 (光人社NF文庫)

久々の軍記系。正直食傷気味でしたのですが、偏った(いや、品揃えが豊富な)書泉ブックマートの地下でタイトル買い!! そして内容はおっちゃんリーマン的にはかなり面白い!!!(いや、でも戦争は反対ですが)


太平洋戦争絡みの軍部の「判断」への批判は、「大局的視点(精神論一辺倒で勝てるはずがない!的なこと)」や「一兵卒の視点(ココは「軍部の判断」というより戦争そのものへの批判・戦争が与えた環境への批判も多いですが)」からよく見ますが、今作は「兵器開発の方向性」という<戦争の方向性を決めるわけではないけど、戦局の方向性を決める管理職>的な視点からの批判(というか批評・分析)。

あ、でも別に作者の方は中間管理職とかじゃないかもしれないけど(調べたら偉い人でした・汗)、まあ私がそう感じたということで。

だけどー、でもこれがまた中間管理職的なソコソコの歳のオッちゃんにはよく理解できるんですよ。


「だからあん時「やるならコレですよ!」って言ったじゃん!!!」的な「方向性を提示しつつも否定されて、みんなで逆の方向に行ってあぼーん」みたいなことに対して胸がすくというか、(まぁ敗戦の理由をあとから分析しているので、当たり前といえば当たり前な展開なのですが)。


と、同時に作者の方は「兵器のこと」を書くだけあって、けっこう「理系」。
正直「レーダー」のところなんか、数字とか出されても、数字が大きいとイイのか悪いのかわかんないw。
でも読み進んじゃえ!って感じで読んでましたが、それでも「現場の必然性(若者?)」と「開発する側の理屈(オヤジ?)」と「管理する側の論理(役員以上)」と、それぞれの乖離とかも別の視点とか見れて、けっこう同感する部分が多かったです。飛燕の話を読んだときもそう思いましたが*1

(……でも、自分の場合は自分が成功しないと証明し得ないんだよな。太平洋戦争については「負けた」という事実があるけど…。がんばらねばw)


ともあれ、「そういう兵器系が好きな男子」が好きな「薀蓄」も多いし、「兵器開発の歴史」という切り口による「戦争再発見」もありました。
ドイツのメサーシュミットの話はかなり面白かったです。ドイツのその辺の話がある本があったら読んでみたいと思いました。


戦争は反対ですが、いちドキュメントとしてはかなり面白かったです。
オススメ。


そして、この後に出された「間に合った兵器*2」も買いました。
コイツも読もうと思います。