ツバサ(18)

ツバサ(18) (講談社コミックス)

ツバサ(18) (講談社コミックス)

ちょいと複雑でしたが、ココへ来て再度振り返って読んでスッキリしました。
それにしても女性の方が(複数の方が?)こういう複雑とも言えるオハナシをキッチリ構築できるのかな?


以前はコミックスの感想あげてたかな?と自分で見てみたらあげてなかったので、ちょっと細かめに書いてみる。



■きちんとした絡み合いがある構成で週刊誌で描けるってすごいと思う。

xxxHOLiCとのリンクも話題のひとつですが、こっちはヤンマガで読んでいるので把握できていますが、ツバサの方はもう嫁が買うコミックスでの確認のみ。
間を空けて、「オハナシ」がドドドドドと流れ込んでくるので、ちょっと把握できているようで出来ていないこともあり、ココ最近の「二人の小狼」のあたりは混乱しました。
特に16巻あたりの「オリジナルじゃない小狼の暴走」とか、「え、何?何? フツー(←フツーと思っているあたりが、私の甘さなのだと思いますが)はあのワルモノのところにいるやつがワルモノ(偽ウルトラマンみたいな)なのではないの!?」と思いましたし。

でも、過去のxxxHOLiCの想起と、コミックスの読み返しで「すげー作りこまれている!」と思いました(xxxHOLiCがやたら「重い」と思ってたら、コッチ(ツバサ)がこういうことになっていたからなのか、と納得)。

この辺の数珠繋ぎ的(線的?)にお話が構成されている「週刊誌連載の良作」はいくつかありますが、伏線が込み入っているのは多くはないかなぁと思います。
ワンピースとかもそういう部分がないではないけど、ツバサの方が複雑なような(複雑ならいいってモンでもないですが、実力というか事前の構築が必要だと思うので、チカラは必要かと)。



■各キャラの情念が感じられる。

二人の「小狼」もそうですが、さくらも、黒鋼も、ファイも、とても強く「情念」というか、感情を感じます。それはわかりやすい「肉体の欠損」や「ケガ」「代償」だったりするのですが、同時に「台詞」もセットになることで強く感じられるんだよな。
様々なマンガで「ポジティブ」な情念による「名台詞」は多々ありますが、このツバサの場合は、「ネガティブ」な情念もコミコミで進んでいるような部分もあり、そこがまた強く印象に残ります。「ネガティブな情念」というと「鋼の錬金術師」を想起しますが、あちらは「戦争」とか「人種問題」とか「現実社会での問題」を反映させている部分もあるので「情念」という感情的なものと同時に「社会的な問題」というのがありますが、ツバサは思いっきり「感情」「情念」な気がします。

コレ、週刊誌で読んでる人、どう思ってんのかな?
作品として面白いとは思うけど、結構「おもつらい」感じだと思うんだけど…。
あ、でもわにとかげぎす、みたいな感じなのかな?



■コレが作れるのは性差?組織力の差?

そしてまた偏見かもしれないけど、こういうお話の作り方って、女性だからとか、集団だからとかって関係あるのかな?(鋼の荒川氏も女性だし)
ファイと黒鋼の<今の>関係性とかって、「絵的には、そっちの世界に受けが良い」のはわかるのですが、シナリオとしてあそこまで落とすのって私の発想にはないなぁ…(まぁ「絵」が先で、話は後、ってこともあるのかもしれませんが、でもきっと十分に事前に練って練って練って!という感じなんだろうなぁ。鋼も「もう話はできている」って言ってたし。「事前に物語が完成した上で演出をしている」ってのがこういうレベルの作品を作るってことなのだろうなぁ)。
単純に私の経験不足という部分も多分にあると思いますが、すげーなーと思いました。コレは「嫁が買ってきたから読んだ」というだけでなく、注目してしまいます。


てなことで、前半戦の「タイムボカン異世界漂流」から、ココへ来て「良質の情念ドラマ」に変貌したツバサ、面白いです。
(ネガティブな情念という部分もなきにしもあらずなので、オススメはしませんが)