新・地底旅行

新・地底旅行 (朝日文庫 お 53-1)

新・地底旅行 (朝日文庫 お 53-1)

日常から旅行、そしてSFへ! クスリと笑わせる文章としての面白さ、安定っぷりに加え、なんというスムーズさ! 面白い!!


この作者、以前「坊ちゃん忍者幕末見聞録」という作品を手に取り、なかなか面白かった記憶があります*1。そのときも文章の巧さ(モノローグ形式の時折皮肉や毒を交える文体)が目立ちましたが、今回もそのようなスタイルで、これがまた秀逸(というか主人公の親友がとても個性的なので余計引き立っている)。

お話は「明治時代のイラストレーター」が、超俗物の友人に誘われ、失踪した大学教授親子を探す、というところから始まります。その後はタイトルのとおり「地底」に向かいます。そこで「信玄の隠し財宝」やら、なにやら様々なお約束のネタ・出会いがあり…、という感じ。

地底を長々と旅するというと、個人的には「妖星伝@半村良」を思い出しますが、血みどろバトルはないものの、ある意味アチラ並に様々あったりします。
そして最後はなんと「あら、冒険モノっつーよりはSFなのね」なんて展開。

先にも述べましたが、主人公のモノローグが面白くて、サクサク読めるし、お話もしっかり、かつスムーズに日常から異世界へ展開されるので、ぐいぐいひきつけられました。


特にSFに興味のない方も、というかあまり小説とか読まない方もおおしろいと思うのではないかなぁと思います。

オススメ!!!