錯乱―徒目付久岡勘兵衛

錯乱―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)

錯乱―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)

頭でっかちの久岡勘兵衛最新刊。今回は勘兵衛の相棒、修馬の恋バナも…


恋バナはさておき、なんだか地味に感じてしまった今回の勘兵衛。
剣の腕も上達しているし、過去のような「猟奇的事件+それに巻き込まれる」もないし、音無黙兵衛と比べちゃうと、地味。
そして、人情話というか、キャラ同士のコミュニケーションも親子十手…に比べると弱い気がする。
こちらが様々読み倒しているので感じてしまうのかもしれませんが、読んでる途中、そう思いました。


しかし、最後の最後の剣戟で面目躍如!
「絵」を想像するだにおかしさがこみ上げる(でも大変でもある)シーンが展開されました。

以前の猟奇事件も「ちょっと現代風」というか「ありえない感じ」で面白かったのですが、今回の最後のチャンバラも「そういう罠を作ろうと思った敵」「そういう罠にはまった状態で戦う勘兵衛」が、これまた「ありえない」感じで面白かったです。

最後の数ページで本書の印象が変わりました。
(ギミックに救われた、という感じでしょうか)

こういうギミックは「相手を選ぶ」ものでもあると思うので、そういう意味ではやはり勘兵衛でしかできないことなのかなあと思います。
やっぱ面白いわ。