道長の冒険―平安妖異伝

道長の冒険―平安妖異伝 (新潮文庫)

道長の冒険―平安妖異伝 (新潮文庫)

先日読んで面白かった平安妖異伝*1の続編。


今回のオハナシは、先日活躍した「神秘的な力を持つ少年楽士、秦真比呂が悪者にさらわれて、それを道長と真比呂の従者が救いに行く」というもの。

様々な国(というか異世界)を道長一行が経ていくのですが、様々な怪異妖魔の障壁妨害を乗り越えて、最終目的地の根の国を目指す様は(解説にもありましたが)西遊記テイスト。和風ヒロイックファンタジーともいえるかも。

また道長が無欲で慈悲深く懐も広いので、みんなに感謝されまくりのナイスガイで、ある意味ご都合主義ともいえる進み具合です。

しかし、そのご都合主義を「怪異」と「道長のすごさ」を描くためなんだろうなぁ、とぼんやり思っていたら、大ボスとの最終結末では、今までの「ご都合主義的なスムーズさ」とは裏腹に「難しい問題」が発生して道長も悩んだりします。
このあたりのメリハリが効いていて、クライマックスの盛り上がりも十分に感じられ、同時にオハナシ全体のテーマが際立っているように思いました。


そして、道長厨(いるのか?そういう人w)なら、にやりとする挿話も多く、前作同様、平安時代好き?の方にもオススメです。