チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

遅ればせながら、話題のホンということで購読。

しかし、コレ、上巻と下巻でオハナシのトーンが変わるのですわ。でも、それがイイ!

オハナシは終始「愚痴外来」担当の医師、田口医師の一人称で展開されるのですが、前半戦は生真面目な素人探偵の調査。そして後半はトリッキーな役人白鳥が登場。

前半は前半でブロークンな性格でキップの良いの田口医師の行動と語り口調で大学病院のパワーゲームや容疑者候補達のやり取りが描かれます。
自分が医療関係の知識がほとんど無い+犯罪のニオイも少ないため、ちょっとした医療事故のノンフィクションモノのような錯覚を覚える生真面目な展開。


しかし、後半に入ると珍妙な迷探偵?白鳥が登場し、オハナシは一気に推理モノに変貌します。
作中で白鳥氏はロジカルモンスターと田口医師に呼ばれますが、彼が尋問術のようなものを駆使し、1回田口医師がヒアリングした容疑者候補を再度洗いなおします。

すでに前半戦で各医師達のキャラや立場が描かれていますので、読者である私の中でも「どいつが犯人なんだろうか? というかやっぱ単なるミスなんじゃない? でも、ハナシ的にそれはないと思うけど誰なんだろ?」なんて思っているところに、この白鳥氏の活躍?で様々な事実が明らかになっていくのです。

この再度の洗い出しの部分が秀逸。それによって明らかになる事実は「やっぱ、そういうコトがあったんじゃん、もっと早く言えよ」なんて思うものの、前半の田口医師によるヒアリングもアリ、比較して「感嘆」しつつ読み進めてしまいます。


ネタ的には誰がどうってのは言いませんが、この無駄なようでいて無駄じゃない「別キャラによる毛色の違った2回の調査」がこの作品を面白くしているように思いました。
もちろん、白鳥氏のトリッキーさとこの田口医師と白鳥氏のバディモノ的な面白さもあるんですがね。

てなことで、面白かったです。オススメ。


蛇足
コレ、もう映画にもなってますが、映画だと「熱血田口医師」は女子(竹内結子)になっていて「これはどうなんだろうか?」と思いますが、迷探偵白鳥氏を阿部寛氏がやるってんで、コレはコレで面白いのかも(トリックのような感じで)。